株式会社クラフトデンタル

クラフトガイド 特許範囲

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
  本発明は、欠損した歯の跡に人工の造形歯を設けるためのインプラント手術用のサージカルガイドに関し、より詳しくは患者
の口内の顎骨にフィクスチャーを埋入する位置を正確に決めるために行われるX線CTによる撮影時に使用されるサージカルガ
イドに関する。
【背景技術】
【0002】
  歯の欠損部分にインプラント(人工歯根)を埋設して義歯を製作するという歯科療法(インプラント療法)が、しばしば実施
される。この療法では、ハンドピース等の穿孔装置に装着したドリルを用いて、欠損部分に対応する位置で顎骨にインプラント
埋設穴を形成する。この際、埋設するフィクスチャーの位置やサイズを決定するため、あるいは手術中に内部に取り付けたチュ
ーブによってドリルを案内するため、サージカルガイドが使用される。
【0003】
  特許文献1には、患者の歯と顎堤を再現した印象模型の外部形状を光照射を用いた3次元計測装置によって3次元の電子デー
タ化する外部形状取得工程と、患者の歯および顎骨の内部の形状をコンピュータ断層撮影装置(CT)によって3次元の電子デ
ータ化する内部形状取得工程と、前記外部形状取得工程と内部形状取得工程から得られた3次元データを合成する合成工程を備
えることで、インプラントを植立できるインプラント植立用治具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-88537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
  インプラント療法では、歯槽骨に穴を形成してここにフィクスチャーを埋め込むが、歯槽骨の状態は患者によって異なるの
で、一般的にフィクスチャーは、長さの異なる複数の種類が準備されており、適切な長さのフィクスチャーが選択されて埋入
される。フィクスチャーを埋め込む穴は、このように選択されたフィクスチャーに合わせて歯科用ドリルによって形成される。
【0006】
  このとき、穿たれるべき孔が所望の深さに達しない場合にはフィクスチャーを強固に設置することができなかったり、設置
しても安定してその先端部に歯科用補綴物を固定することができないこともある。
【0007】
  一方、所望の深さ以上に穴を穿ってしまうと他の組織を損傷してしまう恐れがある。
【0008】
  従ってフィクスチャーの埋設では、フィクスチャーを埋入する穴を正確な位置、角度、深さで穿つことが重要である。
【0009】
  近年では、フィクスチャーの埋設に先立って事前にX線CTを用いてフィクスチャーを埋設する対象となる歯槽骨部分に関
する種々の断層面を撮影し、歯槽骨の詳細な情報を得てから歯槽骨にフィクスチャーを埋入する方向や位置、サイズなどをシミ
ュレーションにより求めておくことが多い。かかるX線CTによる撮影は、患者の口腔内にサージカルガイドを嵌めて行われる。
【0010】
  そしてフィクスチャーを埋入する穴を正確な位置に穿つために、上記CTによるデータに基づき形成されたフィクスチャー
を埋入するための孔をあける手術を行う際にもサージカルガイドが用いられる。このようなサージカルガイドは歯槽骨に穴を
穿つためのドリルをガイドするガイド孔を有しており、その使用時には歯列に被せるように配置される。
【0011】
  上述のCT撮影により正確な位置、方向、深さを診断しても、そのデータを正確にサージカルガイドのガイド孔に反映させ
なければ、フィクスチャーを埋入する穴を正確な位置、角度、深さで穿つことができない。本発明はCT撮影により得たデー
タを正確にサージカルガイドのガイド孔に反映させることが可能な診断用サージカルガイド及び当該サージカルガイドと共に
用いられるトライアルガイドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
  上記の目的を達成する本考案の構成は以下の通りである。
【0013】
  (1) 請求項1に記載の発明は、X線CTによる撮影時に用いられるサージカルガイドであって、患者の歯の欠損部に対応
する部位に空洞体を設け、当該空洞体内にワックスを注入し、当該ワックス内に中空の円柱体を装備せしめて構成した。
【0014】
  (2) 請求項2に記載の発明は、請求項1記載のサージカルガイドにおいて、円柱体をアルミニウム或いはアルミニウム
合金で構成した。
【0015】
  (3) 請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の円柱体内に装備して使用されるアルミニウム或いはアル
ミニウム合金で形成されるトライアルガイドである。
【発明の効果】
【0016】
  上記のように構成される本発明が、如何に作用して課題を解決するかを図面を参照しながら概説する。
【0017】
  本発明に係るサージカルガイド10は、図1、図2に示すように患者の歯の欠損部に対応する部位に空洞体20を設けて
ある。そして空洞体20内にはワックス21が注入してあり、当該ワックス21内に円柱体30を装備し、円柱体30を固定
してある。
【0018】
  かかる状態のサージカルガイド10を、図3に示すように患者の口腔内に装着する。そのうえでX線CTによる撮影を行
い、歯槽骨部分に関する種々の断層面の画像を得るものである。
【0019】
  図4、図5は欠損した歯領域を含む患者の口腔内にサージカルガイド10を装着した状態の説明断面図である。この状態
で、歯科用CTを使って口内を撮影し、顎骨や歯根の立体的な状態、神経、血管の位置などを精密に検査し、これら歯根や
神経、血管に影響を与えないようにしてフィクスチャーを埋設する方向と位置を定める。
【0020】
  歯科用CTは、合成樹脂材からなるサージカルガイド10は写し出されなく、円柱体30と、顎骨1や天然歯2、歯肉3
などの骨類とが写し出されるから、円柱体30と骨類とを観察してフィクスチャーを埋設する方向と位置を定める。
【0021】
  そして、歯科用CTは、立体的な撮影が可能であるから、欠損した歯領域の正面、側面、平面、底面等所望の撮影画面を
見ることができる。
【0022】
  したがって、図4、図5に示すように、欠損した歯領域に設けられた空洞体20にX線、Y線を描き、骨類や神経位置に
影響しない最も適当なフィクスチャーの埋設方向と位置を探し、探索した埋設方向と位置とを円柱体30を利用して記録する
ものである。
【0023】
  この際、X線が最適なフィクスチャーの埋設方向だとすると、図4に示すように円柱体30が最適な方向に合致してい
ると、そのX線方向の画像は図6aに示されるように対向辺が等長の長方形状に表れ、また、X線と直行するY線方向の
画像は図7aに示されるように円形に表れる。他方で、図5に示すように円柱体30が最適な方向からずれていると、その
X線方向の画像は図6bに示されるように対向辺の長さが異なる台形状や途中で切れている画像に表れ、Y線方向の画像は
図7bに示されるように楕円形等に表れる。
【0024】
  かように、円柱体30の位置や傾斜角が、最適なフィクスチャーの埋設位置・傾斜角と合致していると、最適なフィク
スチャーの埋設方向・傾斜角のCT画像には、円柱体30が等長の長方形状あるいは円形に表れ、最適なフィクスチャーの
埋設位置・傾斜角と円柱体30の位置や傾斜角がずれていると、それ以外の形状の画像が表れる。
【0025】
  よって、画像から円柱体30が最適な方向からずれていることが判明した場合には、ワックス21を溶かし、円柱体
30の位置や傾斜角を調整して、再度ワックス21を固めたうえで、再びCT撮影を行い、かかる工程を繰り返すことで
、最適な位置・傾斜角に円柱体30を合致せしめることが可能となるのである。
【0026】
  この際、円柱体30をアルミニウム製或いはアルミニウム合金製とすれば、CT撮影においてハレーションをおこさず
、明瞭な画像を得ることが可能となるのである。
【0027】
  また、トライアルガイドは最終形成されたインプラント窩を試適する器具であるが、このトライアルガイドもアルミニ
ウム製或いはアルミニウム合金製とすれば、CT撮影においてハレーションをおこさず、明瞭な画像を得ることが可能と
なるのである。
【0028】
  以上のようにして作成されたサージカルガイド10はあくまで診断用のものであり、手術時に患者の口腔内に装着する
サージカルガイドではない。ワックスで円柱体30を固定するために位置がずれやすいこと、アルミはやらかい為削れて
体内に入る危険性がある等の理由による。
【0029】
  それゆえ、サージカルガイド10を参照して、ミーリングマシーンで模型にドリリングし、手術用のサージカルガイド
を製作する必要がある。
【0030】
  この際、円柱体30の位置に正確にサージカルチューブを差し込めば、正確にドリルを案内することが可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】円柱体を空洞体に装備する工程を示す説明図。
【図2】本考案にかかるサージカルガイドの斜視図
【図3】患者に装着する過程を示す説明図
【図4】説明断面図
【図5】説明断面図
【図6】CT撮影に伴う円柱体の画像説明図
【図7】CT撮影に伴う円柱体の画像説明図
【発明を実施するための形態】
【0032】
  以下、好ましい発明の一実施形態につき、図面を参照しながら概説する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施
形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属
する限り種々の形態を採りうる。 
【0033】
  本発明に係るサージカルガイド10の製作方法は一般的なサージカルガイドの製作方法と同様である。すなわち、
インプラント手術を行う患者の歯形模型を使って透明または半透明の合成樹脂材からなるサージカルガイドを製作す
るものである。
【0034】
  この歯形模型は、周知の通り石膏模型として構成することができる。製作の一例を述べれば、具体的には、透明
または半透明の合成樹脂板を歯形模型の歯上に載せた状態で適当な温度で加熱すると共に、歯形模型の下方から吸引
力を加え、その後、歯形模型から取り外しサージカルガイドを形成する。
【0035】
  本発明においては、上記のようにサージカルガイドを製作するに際しては、歯の欠損部に合成樹脂材より成る内部
が空洞である容器状の空洞体20を配置しておき、その内部空洞にワックス21を充填するものである。空洞体20
の形状は内部にワックスを貯留可能な形状であれば任意の形状を採用できる。
【0036】
  ワックス21の種類は特に限定されないが、歯科用のワックス、例えばパラフィンワックスなどが好ましい。尚、
ワックス21の融点は融点が60度から80度程度のものが操作性が良く、使い勝手に富むものとなる。
【0037】
  円柱体30は中空の円筒形部材である。材質は特に限定されないが、CT撮影時にハレーションを起こさないよう
にするため、請求項2記載の発明ではアルミニウム製或いはアルミニウム合金製の円柱体30を採用している。
【0038】
  請求項3記載のトライアルガイドは、CT撮影時にハレーションを起こさないようにするためアルミニウム或いは
アルミニウム合金で形成してある。
【符号の説明】
【0039】
10・・サージカルガイド
20・・空洞体
21・・ワックス
30・・円柱体
                                  TOPに戻る
 
 

7